1.パイロットになるには?
ちょうどJAMSTECもしくは、現在「しんかい2000」のオペレーションを委託している
日本海洋事業株式会社(http://www.nme.co.jp)が求人募集しているときでないと難しいと思います。
潜水船の経験等は、私たちは全く期待しておりません。なぜなら、潜水船のオペレー
ションは私たちの所に来なければ出来ないのですから。強いて条件を付けさせていた
だけましたら「船の生活が出来る」一度沖に出たら1ヶ月以上陸地を見ることはあり
ません。船酔いだけでなく、団体での生活が出来る方。また、私の時と違って今はパ
イロットになるまでは、整備士(メカニック)もしくは航法管制士(アコースティッ
ク・ナビゲーター)を経験してからなることとなっておりますので、電気、コンピュ
ータに強い方が有利です。
免許は、運輸省からの指示で「小型船舶1級」で潜っておりますが、これは免許がな
いと言った方が正確で、私たちの教育履歴、潜航履歴は運輸省に届けを出しておりま
す。一応、他に潜水船が無いことから私たちJAMSTECに一任されているといった感じ
でしょうか?
私の夢は、現在の小型ボートのように「潜水船操縦士1級」なんて免許が出来て、一
般の方が潜水船に乗り海底を散歩できるようになることです。私の経験からも、大深
度の海底より水深100〜200mの太陽光の届く世界が本当はきれいですから。
2.操船は具体的にどうするのか?窓は覗けないから全て計器によるのか?
防衛庁の潜水艦と比較して、潜水調査船の特徴は窓が付いていることです。したがっ
て、海底での航走は全て窓を覗いて行います。私は、ヘリコプター等の「有視界飛行
」をなぞって「有視界航行」と読んでいます。もちろん海域にもよりますが、海底は
強力なハロゲン1kw、HMI250w(今自動車でもはやっているキセノン系統のガ
スを封入した放電ライト)等のライトを点けてもせいぜい10メートル、日本近海で
は5メートルといったところですので、5メートル先の闇をじっと見ながら自分の腕
で航走いたします。「しんかい6500」にはオートパイロットが付いていますので
、コースは自動で操縦できますが、海底との高度はきれいなビデオ撮影を行うために
海底面ぎりぎり(高度1〜1.5m以下)を舐めるように走らなければならないこと
から、潜航中パイロットは一時も窓から目を離すことは出来ません。もちろん、2メ
ートルの球の中に3名の人間が入っておりますので、非常に不自然な姿勢で(長いと
海底での5時間程度)・・・。結構肉体労働です。
なお、3名のうち2名がパイロットですから、耐圧殻内の計器の監視はもう一人のパ
イロットが行います。
3.緊急時のはドルフィン3kなどを使って救援するらしいがどのように?
「ドルフィン−3k」は、「しんかい2000」の救難が可能とされている無人探査
機(ROV;Remotely Operated Vehicle)です。そのため、油圧ドリル、カッター等の装
備を持っており「しんかい2000」が漁具等に絡まってしまったら、それをカット
します。また、その作業も不可能な時は、フックを点けて行き「しんかい2000」
のどこかにそれを引っ掛け、「ドルフィン−3k」のケーブルごと母船の「なつしま
」で引き上げます。しかし、当然ではありますが、私たちオペレータはこれのお世話
になることは考えておりせん。そうなることを未然に防ぐことこそ、いいパイロット
に必要な条件と考えます。
潜水船の仕様は、インターネットである程度は分かると思いますが、とりあえず「ウ
ッズホール海洋研究所」と、「ノーチール」の「IFREMER」をJAMSTECのホームページ
リンク集から入るのがいいと思います。私も今回の出張レポートの関係上、ロシアの
「ミール」の仕様を調べていますので、まとまりましたら送ります。
最新の情報を一つ、加茂さんのホームページに載っておりましたU.S.NAVYの「シーク
リフ」はすでに引退して、なんとこの6月25日からここウッズホール海洋研究所の
倉庫で保管されております。理由は、今後ポスト「アルビン」で建造されるかもしれ
ない(まだ決まってはいません)新型潜水船の開発スタディーのためと、こちらの人
たちは言っております。
私も先週初めて見せて貰いましたが、「しんかい6500」より巨大な潜水船で、確
かに大きすぎると思いますので、ここウッズホール海洋研究所の方々が新しい船を造
りたがっていることが容易に想像できました。もちろんご存じとは思いますが、「ア
ルビン」も船主はU.S.NAVYなんですよ。
ということで、現在6000m級の世界の潜水船は「しんかい6500」「ノーチー
ル」「ミール1」「ミール2」の4隻です。